かつてはよく「5月病」「6月病」という言葉を耳にしました。
ゴールデンウイーク明けなどで「何となく学校に行きたくない」「何となく仕事に行きたくない」といった気持ちが前向きになれない状態を言っていました。
医学的にはどうなのでしょうか?
適応障害とは?
世界保健機構の診断ガイドライン(ICD-10)によると、「ストレスが原因で引き起こされる情緒面、行動面の症状であり、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。
つまり、ストレス(個人のレベル~災害などの地域社会を巻き込むようなレベルまでいろいろ)が原因で起こるものです。
ストレスには本当にいろいろあります。
同じ状況でもある人はその状況が耐えられないほど苦痛を感じ、普通に生活ができなくなる場合もあれば、ある人はそれほどの影響を受けない人もおられます。
「発症は、ストレス性の出来事が起きてから1か月以内であって、ストレスがなくなってから6か月以上症状が持続することはない」とも定義されています。
適応障害の症状は?
抑うつ気分、不安、怒り、焦り、緊張といった情緒面の症状が言われています。
行動面では、物事をきちんと計画立ててできなくなったり、暴飲暴食になったり、無断欠勤をしたり、すぐに怒ったり「キレる」という状況になったりすることもあります。
適応障害の場合はストレスとなっているものから離れると症状が改善することが多いのも特徴です。
仕事や学校の日は元気がないけど、休日であったら活動的になれたりすることもよくあります。
似たような症状になるものとして「うつ病」がありますが、これとの大きな差が原因になっているストレスがなくなっても気分の落ち込みなどが続くことです。
適応障害は治るの?
「ストレスの原因になっているものを取り除く」ことができれば、基本的には解決するものです。
ただ、ストレスの原因によっては取り除くことが難しい場合(家族などの家庭環境など)も多いので、「本人の適応力を高める」といったことや「薬物療法」を併用することもあります。
「ストレス耐性」というのは、本当に人によって違います。
環境が変わったことによるストレスであっても、すぐにその環境に適応できる人もいれば、なかなか適応できない人もいます。
「適応できないのは、本人の努力が足りない」といった心無い言葉はかけないようにしましょう。
どんな人でも、その人なりに精一杯努力はしているのです。
「これくらいのこともできないの?」なんて言われると、本当に自信まで失ってしまい、回復できなくなることさえあります。
当事者は「自分は苦しい」ということを信頼できる人(精神科医やカウンセラー)に訴え、力を貸してもらうのが良いです。
私の場合
私は「結婚」が適応障害の原因でした。
結婚を決めた時は「この人なら」と思っていました。
しかし、いざ生活を始めてみるとちょっとした言葉であったりするのですが、心にチクチク刺さるような経験を積み重ねました。
子供もできたら「もう逃れようがない(落ち着いて考えれば、いくらでも方法はありますが)」とまで思いつめ、「忍耐」の日々となりました。
この時点精神科を受診したり、カウンセラーに相談していれば「うつ病」にまで進展することはなかったでしょう。
もし、同じように感じている方がおられたら、ぜひ専門家(精神科医やカウンセラー)の力を借りて欲しいと思います。
決して自分の能力が足らないわけでも、自分が悪いわけでもないのですから。
「先のばし」しないことをお勧めします。